それは、価格帯によるモデルの差異を、外装の手の賭け具合と機能の数の差で作ろうとしている帰来がある、ということです。
機能に関しましては、以前よりございました。
リピーターやグランソヌリを頂点に、トゥールビヨン、スプリットセコンドクロノグラフ、パーペチュアルカレンダー等、高機能化が高価格化に繋がるということです。
気になったのは外装に関してのことです。
今回の記念モデルは、明らかに外装で価格帯を分けており、部品点数は異なるものの、部品の仕上げに関しては、高価格帯のラインも中価格帯のラインも大きな違いが見受けられません。
彫金という手法を前面に押し出し高価格化した始めのモデルはSky moon tourbillon 6002G(図.1)でしょう。
文字盤はエナメル、外装はハンドクラフトエングレービングと、非宝飾の時計としては最も高価な部類に入る外装を得られていると思われます。
この外装は、現社長ティエリー・スターンの妻(Sandrine Stern)の意向が強く出ていると言われています。外装を優美に派手にという観点は、確かに女性視点の価値観から特に理解を得られると思われます。
(図. 1) Patek Philippe Sky moon tourbillon 6002G
(Quote: Patek Philippe official website)
以前、パテック・フィリップ社はムーブメントの仕上げと機能によって価格帯を分けておりました。外装に関しては、高給価格帯において非常にシンプルな意匠の外装が主流でした。これは、前社長フィリップ・スターンの哲学の繁栄なのでしょう。
購入者は、時計の機械や品質に理解が無ければ、価値を見出すことが出来ないので、時計の芸術という方面における、造詣の深さを求められました。
(例外として、個別オーダーを出来るランクのV.I.P.は、要望に応じて外装や文字盤を特注しました。)
(例外として、個別オーダーを出来るランクのV.I.P.は、要望に応じて外装や文字盤を特注しました。)
外装で価格帯を分けると、どんな人が見てもそのモデルの価格帯が分かります。確かに、時計の芸術としての価値が分からない人に、価格の違いを理解させる手としては、賢いと思います。
供給側としては、ムーブメントに良質な仕上げを施すより、外装の仕上げに差をつける方が、コストが掛からないため、ある種、顧客とメーカーともにウィンウィンの方向性にあるのでしょう。。
筆者としては、この方向性には賛同しかねます。ムーブメントの仕上げが超一流ならまだしも、仕上げを疎かにし、外装重視に注力する方向性には賛同できません。外装による付加価値化は、時計の本来の価値とは別の次元で資金流入を招き、ある種のバブルを招く可能性があります。高級機械式時計市場を無駄に大きくしてしまう可能性があるということです。
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